最悪の1日

2022年10月6日

逃げ出した母

2016年4月1日。その日は金曜日でした。

いつものように会社で仕事をしていると、慶の下宿先に居るはずの母から電話がかかってきました。

どうしたのだろうか。今頃慶と楽しく過ごしているはずなのに。

電話に出てみると、母は震えるような涙を含んだ神妙な声で話し始めました。

今、東京にいる弟の一男の家にいること。

一昨日の夜、姉が暴れ出し胸ぐらを掴まれひきづられたこと。

慶を下宿先まで送り届け一晩下宿先に泊まったが、恐怖と悲しみでとても家に帰る気にはなれず一男のところに来てしまったこと。

話を聞いている間、血の気がひく思いがしました。

母も私がされたような暴力を受けたのだろうか。

あの時の映像が急に現れ、目を閉じても脳の中心部に鳥肌が立つような、なんとも言えない不快感に襲われました。

とにかく明日の土曜日には一男叔父さんの家に行くから待っていてくれと伝え、そのまま電話を切りました。

帰ったら父に電話をしよう。19時に仕事を終え電車に乗っていると義理の母からメールがありました。

「お姉さんから家に電話があり、お母さんが痴呆になられたらしく行方不明だそうです。うちの主人が電話を受けたのですが、ひかるさんに連絡がとれないのでこちらから伝えてくださいとのことでした。心配です!」

結婚して3年。

母の家を建て直した直後の2013年の初めに、私は突然結婚を決めました。

新しい家が出来上がり、これまでの中で一番家族が寄り添っていた時だったかもしれません。

お互いの家族と顔合わせを兼ねた食事会を行っただけで、結婚式は行いませんでした。

家族顔合わせの食事会には父と母、姉と二人の甥揃って来てくれ、本当に嬉しい1日でした。

たった一度の面識しかない妹の義理の家族に、なぜそんな迷惑のかかることができるのか。

とうとうタガが外れてしまった。

震えるほど怒りが止まりませんでした。

自宅に到着し、母への暴力があったことと義理の母からメールがあったことを父に伝えました。

父は言葉も出ない様子でした。

お風呂から上がり23時が過ぎたところでした。

携帯に留守番電話が入っているのに気がつき見てみると、下4桁0110からの着信でした。

110番?まさか警察では…嫌な予感で恐る恐る再生をしました。

「●●警察です。お母さんが徘徊中に行方不明になったとの捜索願いが出ています。折り返し電話をください。」

そうだった。姉の嫌がらせはこうだった。警察、救急車、役所、税務署。

さまざまな公共機関を利用し、ありとあらゆる精神的ダメージを相手に与える。

慌てて折り返し電話をしてみると

「お母さんが認知症で行方不明になったとお姉さんから捜索願いが出ています。お姉さんが言うには妹さんが居場所を知ってるはずだと言うことですが居場所は知っていますか。」

どこまで話していいのか。

黙秘というのは聞いたことがあるが、警察に嘘をついたら罪に問われるのだろうか。

姉は警察を使って何をしてくるのか、私が話した言葉で何が起こるか。

姉の息がかかっているかと思うと、警察を信用する気にはなれませんでした。

「母は認知症ではないです。連絡はとれていますが今は言えません。明日本人からそちらに電話をさせます。」

「そうですか。何があったのか話してくれませんか・・・書類も出てるのでこちらも居場所が確認できないことには困っちゃうんですよ。では必ず電話をさせてくださいね。」

母への暴力を話し、助けてほしいというべきか最後まで悩みましたが、万が一のことを思いそのまま電話を切りました。

警察との電話の後、母に連絡を入れました。

警察から連絡があったので、明日電話を入れてほしい。

早々に電話を切り、呆然と天井を眺めました。

一体何が起こっているのか、何をしようとしているのか。

本気で母を探したいなら、母の姉弟の一男さんや周代さんに連絡するのが先ではないか。

私に連絡をとりたいのなら、義理の母に連絡するよりも父に連絡をすれば伝わることはわかっているはず。

私が連絡をされて困る相手を探し、追い詰めようとしていることは間違いない。

姉の嫌がらせにはリミッターがないことをこの日改めて思い知り、1年半燻り続けた何かが大きく動き出した気がしました。

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